ちょっと昔話。

いつもは大体その日の生活の「日記事項~☆」のポストに終始している本ブログ(及びFacebook)だが、今回は久々に番外編、ちょっと昔話でもしてみたい…。

私が大学~大学院の時期に在籍していた某アニメ研には、非常にユニークなある先輩がいらっしゃった。まぁ、バレバレかもしれないが、今は仮にB先輩と呼んでおく。この人の何が独特かというと、その異常な人との距離の詰め方である。これは特有の極めて攻撃的な業前で、まぁ、昨今「対人マニューバ」といった呼び方もあるようだが、この方の場合、相手がB先輩を「敵影補足」していたと思っていると、そこからいきなりフッと消え、その次の瞬間、いや、「次」ですらない即時に、相手の懐の真ん中・ゼロ距離に接敵しているのである。そして、即座に致命的な毒の一撃を食らわせて相手を確証破壊する。正直、最初にこれを目の当たりにしたときは心底恐怖した。下手をすれば、私も簡単に壊されて、その後、いいように鋳造されてしまうだろう。多分、その当時のあの方が本気でこれを使ってきたら、あの時期の私ではなすすべも無かったと思う。だが、同時に、私の中の抑えきれないいたずら心が動き出してしまったのも事実だった。あろうことか、大それたことに「これを手に入れたい!」と願ってしまったのである。結局、その後、在籍期間のある時期にわたって、私は結構B先輩にべたべた金魚の糞みたいにくっついて質問攻めにしたり、調子に乗りすぎて凹まされたりしていたわけだが、そういうことをやっていた狙いの一つとして、この「対人マニューバ」をコピーして自分のものにする、という下心もあったのだ。私は、個人的には、この「マニューバ」を、独自に「消える狂犬」と命名している。ただ、このコピーの試みはかなり危険な行為だった。この「消える狂犬」は、B先輩が、おそらくそれまでの己の実人生全てを前提に編み出した必殺殺法と言っていい途方もないスキルである。そういう属人的なスキルである以上、スキルの前提となる人格の基底にある観念や価値観まで、コピーすれば漏れなく付いて来てしまう。そして、この「マニューバ」を可能にする人格の基底にある観念/価値観とは、要は他人に対する一般的な害意とか敵意と云ったものだった。これを丸ごと私の人格上にインストールすると、私の固有の基底の観念であるお花畑が上書きされてしまう恐れがある。そこで、この基本的な「敵意」の観念をコピーして受け入れる際には、これを鍵カッコに入れて人格システム内で「テイム」してしまうことにした。さらに、スキルを行使する際に一時的に害意を監禁から解放して実稼働させる際にも、あくまでも私の人格内での観念のプライオリティはお花畑の方に置いておき、その制御下で害意/敵意を稼働させるように工夫した。また、これとは別に、独自拡張も行った。オリジナルの「消える狂犬」では、ゼロ距離接敵した後相手にぶつける情動は「毒の敵意」だけだが、これを「通常打撃」も選択できるようにして、更に敵意/害意だけでなく、好意をぶつけることも選択できるように仕様を拡張した。こうして、郁くんバージョンの「消える狂犬(改)」が完成したのである。

まぁ、その後イロイロあって私はアニメ研を(更に大学も)離れて、長い「流浪の生活(笑)」を送った挙句、数年前、突然、某所や某所のタイムライン上に出現したわけだが、それ以来、この「消える狂犬(改)」は、そうしたタイムライン上での生活を送る上で極めて有用に役立ってくれている。今となっては、あの頃、部室や、例会の会場だった某喫茶店で、惜しげもなくこの業を私の目の前で度々披露してくださったB先輩には、深く感謝したいと思っている…。